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枯葉の髪飾りLⅩⅩⅠ [枯葉の髪飾り 3 創作]

 クリスマスパーティーを予定していた土曜日はとても寒い日でありました。そのためか、その日吉岡佳世は学校を休んでいたのでありました。
 もしも彼女の体の具合が思わしくないのなら、予定していたクリスマスパーティーを取り止めにした方がよかろうと、拙生は学校が終わった後に学校最寄りのバス停傍の公衆電話から、彼女の家に伺いの電話を入れてみたのでありました。電話に出たのは吉岡佳世本人でありました。彼女によれば矢張り単に用心のために学校を休んだのであり、体の調子は全く問題ないから是非予定通りパーティーを開催したいと云うことでありました。
「あたしが休んだから、皆が来なかったらどうしようて心配してたと。よかった、丁度電話があって。もうケーキもウチに届いてるし」
 彼女の声は弾んでいるのでありました。
「今日のパーティーは大丈夫のごたるぞ」
 拙生は電話を切ってから、拙生を囲むように心配顔をして立っている隅田と安田と島田に云うのでありました。
「おう、そうか。そりゃよかった」
 安田が手をひとつ叩きながら歓喜の声を上げます。
「そんなら予定通り、あたしと安田は戸尾市場まで行ってクリスマスの飾りとか、クラッカーとか、あと適当になんか買ってから佳世の家に向かうけん、井渕君と隅田君は佳世の家の近くのスーパーでチキンとか果物とか買って、先に行っとって」
 島田が云います。
「よし、判った。ええと、食いものはチキンの足ば焼いたのば人数分と、あとリンゴかなんかでよかかね。他になんか買うとくものはなかか?」
 隅田が島田に確認します。
「チキンは二つくらい余計に買うとく方がよかかも知れん。一応この四人と佳世とお母さんの六人分で大丈夫ては思うけど、まあ、余ったら佳世の家に置いて帰れえばよかし。それから、ポテトサラダかマカロニサラダ、それになんかあんた達の好きな、おかずになるような物ば適当に買うとって。任せる」
「ポテトサラダとマカロニサラダは、どっちば買えばよかとか?」
 隅田が島田に聞きます。
「どっちでんよか。好きな方ば買えば」
「そがん云われても、どっちも好いとるけんが迷うね」
 隅田は腕組みして、いったいどちらを購入すべきかと思案するのでありました。
「どっちにするかは、スーパーで見てから決めればよかたいね。今ここでそがんこと考えとらんで、ほら、早う行こうで」
 島田は行動開始を促すために隅田の腕を一つ叩くのでありました。
 四人は同じバスに乗りこんで、もっと先にある戸尾市場へ向う島田と安田をバスの中に残して、拙生と隅田は吉岡佳世の家の最寄りのバス停で先に下車するのでありました。バスを降りると冬の冷たい風が拙生の旋毛に吹きつけて来るのでありました。
(続)
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