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枯葉の髪飾りLⅩⅦ [枯葉の髪飾り 3 創作]

「二十四日のクリスマスイブは月曜日になるね」
 吉岡佳世のお母さんが体を捩ったまま云うのでありました。
「月曜日ですか。あんまい都合のよか日じゃなかかなあ、そうなると」
 隅田が顎を擦りながら云います。
「そしたら、ちょっと早かばってん、二十二日の土曜日はどがんね? 学校の引けた後五時頃ウチに来て貰うて云うことで」
 吉岡佳世のお母さんが体をまだ捩った儘云うのでありました。
「土曜日なら、都合のよかですね」
 隅田が云います。
「そうね、補修授業のあっても三時半までけん、その後色々買い物しても大丈夫しね」
 島田が隅田の後を続けます。
「よし決まり。そしたら二十二日の五時にお邪魔します」
 安田がそう云って吉岡佳世のお母さんに頭を下げるのでありました。
「繰り返しますけど、なあんも用意とかせんでよかですよ。あたし達で色々買ってきますから、食べ物とか飲み物とか。それにケーキも」
 島田がお母さんに告げます。
「ケーキはウチで用意させて貰おうかね。ちょっとはおもてなしの真似ごとばしたかけん」
 吉岡佳世のお母さんはそう云ってようやく体を元の体勢に戻すのでありました。
「ま、まだ先けん、細かことはまたその内打ちあわせるとして、取りあえず、日にちだけは決定て云うことにしとこうで、今日は」
 隅田が云うのでありました。
「今から楽しみね、佳世」
 吉岡佳世のお母さんが彼女を見ながら云います。
「うん、楽しみ。今年のクリスマスは賑やかになるね」
 吉岡佳世が両手を胸の前であわせて肩を竦めて見せるのでありました。
「さて、あんまい長うお邪魔しとってもなんけんが、そろそろ帰ろうで」
 隅田が少し間を置いて云うのでありました。
「あらあ、もう帰ると?」
 吉岡佳世のお母さんが残念そうに云います。
「また時々寄らせて貰いますから」
 島田が吉岡佳世のお母さんに頭を下げます。
「どうせクリスマスの打ちあわせもせんばし、またすぐ寄りますよ」
 安田がそう云ったのを潮に我々は立ち上がるのでありました。
「今日は有難う、皆、来てくれて」
 吉岡佳世が一緒に立ち上がりながら三人に礼を云います。
「いやいや、井渕に邪魔者が三人ついて来ただけけんが。しかも無理にお願いして」
 隅田がそう云って拙生を見ながらニヤリと笑うのでありました。
(続)
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