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枯葉の髪飾りLⅩⅥ [枯葉の髪飾り 3 創作]

「うん、それは楽しかよね、きっと」
 吉岡佳世が同意するのでありました。
「吉岡の手術に向けての激励会て云う意味もあるぞ、そうしたら」
 安田が云います。
「でも料理とかお願いするとは申しわけなかし、入院ば控えて忙しか時期でしょうし」
 島田が吉岡佳世のお母さんの顔を見ながら尻ごみするのでありました。
「大丈夫くさ。料理はオイ達で分担して持ってくればよかやっか」
「それもそうやけどさ」
「よし、決まり。と云うことでお母さん、料理とかはなあんもせんでよかですけんね。ただこのテーブルば貸して貰えればよかです」
 安田が市場で魚の競り値が決まった時のように手を一つ打つのでありました。「メンバーはこの五人と、あとお母さんと云うことになるかね。あ、もしお父さんとか他に家族の人が参加されるとは自由です」
「当たり前たい。佳世の家でさせて貰うとなら」
 島田が態々余計なことをと云うように、うんざりした顔を安田に向けながら云います。
「はいはい。ま、取り敢えずこれでクリスマスパーティーの件は決定。楽しみになってきたぞ」
 安田は大乗り気と云った顔をして喜ぶのでありました。
「パーティーはクリスマスの日にするとか、それともクリスマスイブの日にするとか?」
 隅田が安田に聞きます。
「大概クリスマスパーティーは、クリスマスイブの日にするやろうもん」
 安田が拙生に同意を求めるように顔を向けるのでありました。
「さあ知らん。ウチは浄土真宗けんが」
「なんや、それは」
 これは拙生と安田のボケとツッコミであります。
「あら、井渕君の家は浄土真宗ね。ウチと一緒たい」
 とこれは吉岡佳世のお母さんの言葉であります。「でもウチは別にクリスマスとかは、宗旨に関係なくケーキとか買うてきて食べるけど、井渕君の家ではそがんことせんと?」
「いや、ウチも別にケーキとか食うばってん・・・」
「お母さん、井渕君の冗談たい」
 吉岡佳世が彼女のお母さんの肩を平手でひとつ叩きながら説明してくれるのでありました。
「ああ、なあんね。あたしはまた井渕君の家では、浄土真宗の行事以外のことは一切しなさらんとかて思うたよ、真面目な信徒さんの家ならそうかも知れんて思うて」
「で、パーティーはクリスマスの日にするとか、それともクリスマスイブの日にするとか?」
 隅田がさっきと同じことをまた聞くのでありました。その言葉を受けて、吉岡佳世のお母さんが後ろの壁に掛ってあるカレンダーを見るために体を捩るのでありました。
(続)
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