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あなたのとりこ 172 [あなたのとりこ 6 創作]

「さて、どうだろう、全総連加盟の労働組合結成、と云う事に決定して良いかな」
 山尾主任が話しを進めようとするのでありました。
「それしか手は無いかな、社長や土師尾営業部長を慌てさせるには」
 袁満さんが頷くのでありました。
「そうね。個々や、何もバックが無い状態で騒いでいても無力だもんね」
 那間裕子女史も二回頷くのでありました。
「均目君は?」
 山尾主任は均目さんを見るのでありました。
「流れとしてはそのような形勢ですから、俺も敢えて反対はしませんよ」
「唐目君はどう?」
「さっきも云ったように皆さんの決定に従います」
 頑治さんはここでも卑怯な云い草をしている自を潔くないと思うのでありまいた。何ともイカさない見てくれではありますが、まあ、仕様が無いでありましょうか。
「じゃあ、そのように決めるとして、そうなれば今後の手順としては、・・・」
 山尾主任は横の横瀬氏を見るのでありました。
「そうですね、春闘迄、結成準備会会議を重ねると云う事になりますが、取り敢えず近々全員揃ったところで会議を開いて正式結成までの暫定的な役員を決めて、それから闘争方針を採択して、春闘迄の日程を確認して、統一要求に加えて当該の独自要求を準備すると云うところになりますね。全総連としても正式にバックアップ体制を組みます」
「よろしくお願いします」
 山尾主任が横瀬氏に頭を下げるのでありました。それに倣って皆も軽くお辞儀するのでありましたが、均目さんは伏し目をするものの殆ど頭を動かさないのでありました。
「なあに、それが仕事ですから」
 横瀬氏はそう云って如何にも頼もしそうに笑うのでありました。それが仕事、と云うのでありますから改めて云う迄もなく、この人は何処かの全総連加盟の単組の組合員と云うのではなく、全総連本体の組織部に属する専従職員と云う事になるのでありましょう。
「じゃあ最初の会議は何時に設定するかな」
 山尾氏が全員を見回すのでありました。「木曜日のボーナス支給日は結局何も抗議とかしないと云う事なら、その日の退社後と云う事でどうかな」
「皆で土師尾さんに文句を付けるなら、どうぜその後で会合するだろうと思っていたから、その日は何も予定を入れないで空けてあるわよあたしは。学校の方も無いし」
 那間裕子女史が賛意を表わすのでありました。
「俺も、そうすると明日は丸々一日休めるなあ」
 袁満さんも都合が好いようであります。
「そう云う事ならボーナス支給日に、と云う事で俺も都合を付けるよ」
 均目さんもものぐさそうな言葉つきながらも同意のようであります。勿論頑治さんも、どうせ夕美さんとの逢瀬は土曜日だから大丈夫と云った按配でありますか。
(続)
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