SSブログ

あなたのとりこ 440 [あなたのとりこ 15 創作]

「そう云ってくれると少し気が楽になる」
「今度会えるのは何時になるかな」
「そうね、夏休みと云う事になるけど、頑ちゃんは夏休みはどうなるの?」
「会社で一斉に休むと云う感じじゃなくて、七月か八月の適当なところで仕事との兼ね合いで夫々取ることになる、と云う風に聞いているよ」
「日取りなんかは未だはっきりしないわよね?」
「まあ早い目に申し出ておけば社内で色々都合が付けられると思うけど」
 倉庫の仕事や定期不定期を含めて配達や梱包配送なんかは、出雲さんが居なくなるので、業務を代行して貰えるのは袁満さんか手の空いた時の日比さん辺りでありましょうか。編集の方に関しては均目さんと那間裕子女史、それに片久那制作部長も含めて四人で日取りを擦り合わせして交代で休む事になるでありましょうか。
「期間はどのくらい取れるの?」
「何でも夏休み自体は三日間なんだけど、今迄の慣習だとその後二日間有給休暇を取って、前後の土日で最長九日間取れるらしいよ」
「丸々一週間と土日の組み合わせね。意外にのんびり夏休みが取れるのね」
「原則はそうだと聞いているけど、でも今年は辞める人が居たり各自の仕事内容が変更になったりで、従来通り呑気に九日間の夏休みが取れるかどうかは判らないかな」
「これは一応あたしの腹案なんだけどさ」
 夕美さんはそう云って自分の鼻を人差し指で差して見せるのでありました。「頑ちゃんが七月の最終週に取って田舎に帰って来て、あたしが八月の第一週目に取って一緒に東京に出て来れば、二週間続けて二人で一緒に居られる事になるわ」
「ああ成程。夕美も丸々一週間夏休みが取れる訳だな」
「七月八月九月のどこかで、あたしも多分頑ちゃんと同じ要領で休めるわ」
「でも博物館は、夏だからと云って特別の休館日はないだろう? 寧ろ小中学校とか高校生の夏休み期間は何時もより忙しくなるんじゃないの?」
「それはそうだけど、学芸員は結構纏まった夏休みが取れるらしいの」
「ふうん、そうなんだ」
 頑治さんはここで莞爾として顎を撫でるのでありました。「二週間夕美と一緒に夏休みを過ごせると云うのは、これは実に魅力的だなあ」
「そうでしょう」
 夕美さんは嬉しそうに笑うのでありました。「
「でも果たしてそう云う時期に上手く休みが取れるかなあ」
 頑治さんは顎を撫でる手の動きを止めるのでありました。
「七月の最終週と八月の第一週にならないとしても、何とか二週間二人一緒に過ごせるように都合すれば良いじゃない」
「それはそうだな。未だ時間があるから、何とかそう云う方向でお互い夏休みが取れるように努力しよう。それが叶うなら今からワクワクと云うところだな」
(続)
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 12

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。