お前の番だ! 201 [お前の番だ! 7 創作]
「え、お二人からそんなに貰って良いのですか?」
「うん。あんまりご飯を食べると太るからね」
あゆみは万太郎が承諾する前に、自分の皿からライスを半分程万太郎の皿に移すのでありました。続いて大岸先生も、こちらも半分程を提供してくれるのでありました。
「こんなに頂いたら僕は食べ切れないかも知れませんよ」
万太郎は皿の大きさに比して、明らかに不格好に高く盛り上げられたライスの山を見下ろしながら云うのでありました。
「万ちゃんが食べきれない筈ないじゃない、普段の家での食事の量からしても」
あゆみが万太郎の懸念を一笑に付すのでありました。「第一、困惑していると云うよりは喜んでいるみたいな万ちゃんのその顔で、そう云う事を云っても真実味がないわ」
万太郎はあゆみにそう云われて、緩んでいた口元を引き締めるのでありました。
「はい、済みませんでした。充分食べ切れます」
万太郎はまたすぐ口元を緩めるのでありました。
「これもあげるわ」
大岸先生が自分の皿の二切れある白身魚のフライの一つを、万太郎のチキンカツの載った皿の端に移すのでありました。
「いや、魚のフライまで頂くのは申しわけないですよ」
とたじろぎつつも、万太郎はそれを慌てて大岸先生に返却しようとする仕草の気配は全く見せないのでありましたが。
「いいのよ。あたしにはフライ二枚は多いもの」
「ああそうですか。じゃあ、遠慮なくいただきましょうかね」
万太郎の顔にみるみる歓喜の笑みが満ちるのでありました。大岸先生はそんな万太郎を見て、可笑しそうに口元をフークを持った手で隠して笑うのでありました。
「万ちゃん、あたしのポークカツも少し分けてあげようか?」
そう云うあゆみを見る万太郎の顔は、自分の前のライスの皿と同じに、歓喜の特盛り状態になっていた事でありましょう。
「いやあ、それは悪いですよ。でもまあ、そうですか。ポークカツもあんまり食うと太りますかねえ。どうしてもとおっしゃるなら、ま、いただきましょうかねえ」
「何なら私のオムライスも貰うか?」
是路総士が面白がって万太郎にそう訊くのでありました。
「いえ、それは断じて結構です。それでは余りに不謹慎と云うものですから」
万太郎はしかつめ顔をして是路総士に辞退のお辞儀をするのでありました。
「別に構わんぞ。体裁を気にする必要はない」
「体裁を気にしているのではありませんが、総士先生はもう既に何口か食べていらっしゃいますから、そう云う食べかけを敢えていただくのはちょっと。・・・」
「ああ、そう云う事か。食べかけとなると汚いか?」
「いや、汚いとかでは全くないのですが」
(続)
「うん。あんまりご飯を食べると太るからね」
あゆみは万太郎が承諾する前に、自分の皿からライスを半分程万太郎の皿に移すのでありました。続いて大岸先生も、こちらも半分程を提供してくれるのでありました。
「こんなに頂いたら僕は食べ切れないかも知れませんよ」
万太郎は皿の大きさに比して、明らかに不格好に高く盛り上げられたライスの山を見下ろしながら云うのでありました。
「万ちゃんが食べきれない筈ないじゃない、普段の家での食事の量からしても」
あゆみが万太郎の懸念を一笑に付すのでありました。「第一、困惑していると云うよりは喜んでいるみたいな万ちゃんのその顔で、そう云う事を云っても真実味がないわ」
万太郎はあゆみにそう云われて、緩んでいた口元を引き締めるのでありました。
「はい、済みませんでした。充分食べ切れます」
万太郎はまたすぐ口元を緩めるのでありました。
「これもあげるわ」
大岸先生が自分の皿の二切れある白身魚のフライの一つを、万太郎のチキンカツの載った皿の端に移すのでありました。
「いや、魚のフライまで頂くのは申しわけないですよ」
とたじろぎつつも、万太郎はそれを慌てて大岸先生に返却しようとする仕草の気配は全く見せないのでありましたが。
「いいのよ。あたしにはフライ二枚は多いもの」
「ああそうですか。じゃあ、遠慮なくいただきましょうかね」
万太郎の顔にみるみる歓喜の笑みが満ちるのでありました。大岸先生はそんな万太郎を見て、可笑しそうに口元をフークを持った手で隠して笑うのでありました。
「万ちゃん、あたしのポークカツも少し分けてあげようか?」
そう云うあゆみを見る万太郎の顔は、自分の前のライスの皿と同じに、歓喜の特盛り状態になっていた事でありましょう。
「いやあ、それは悪いですよ。でもまあ、そうですか。ポークカツもあんまり食うと太りますかねえ。どうしてもとおっしゃるなら、ま、いただきましょうかねえ」
「何なら私のオムライスも貰うか?」
是路総士が面白がって万太郎にそう訊くのでありました。
「いえ、それは断じて結構です。それでは余りに不謹慎と云うものですから」
万太郎はしかつめ顔をして是路総士に辞退のお辞儀をするのでありました。
「別に構わんぞ。体裁を気にする必要はない」
「体裁を気にしているのではありませんが、総士先生はもう既に何口か食べていらっしゃいますから、そう云う食べかけを敢えていただくのはちょっと。・・・」
「ああ、そう云う事か。食べかけとなると汚いか?」
「いや、汚いとかでは全くないのですが」
(続)
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