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合気道の組形稽古について 10 [合気道の事など 2 雑文]

 ここまで述べた技で、受けは「(一)」或いは「(表)」の技の組形の場合には、つめ寄ろうとする仕手と間合いを取るために後ろに下がっていこうとする指向があり、それに乗じて仕手は前に向かって進むと云う「呼応性」を以って技を施していると云えるのであります。また「(二)」或いは「(裏)」の場合は、受けは前に押し出ようとしてそれをいなされて側面に回りこまれた仕手に対して、巴に回って追うような軌跡を取りながら接触時の「先」の状況を回復せんと指向し、仕手はその受けの自分を追う動きを、矢張り回りながらいなし続ける中で技を施すと云う「呼応性」によって制圧を成立させているのであります。
 この仕手と受けの相互の関係性を同調せしめるための稽古が組形稽古であります。依って受けがその理合いを仕手以上に充分認識した上で、無用な対抗性を発揮する「邪心」なく協力的に稽古に臨まなければ、組形を稽古する意義はないと云えるでありましょう。

 これまでは抑え技の例でありましたが、次に投げ技の場合を挙げてみます。先ず「片手持ち側面入り身投げ(一)」或いは「片手取り呼吸投げ(表)」と云う技の場合を例とします。右相半身で対峙して、受けが右手を以って仕手の左手を取って引いた場合であります。
 受けは前に述べた「片手持ち二ヶ条抑え(一)」或いは「片手取り二教(表)」と同様に体軸の動きを用いずに、仕手の手首を持った腕の肘の屈曲と肩の伸展動作に依って仕手を自分に引きつけるように引きます。仕手は受けの引く動作の起こりを察知したら同調して手の密着を保持した儘、その手を引かれる儘に掌が上を向くように螺旋に前に出し同時に右前足を受けの右前足爪先近くに、摺り足で足部内側を仕手の正中線に対して直角を取るように進めながら重心を下げます。この時仕手の後ろ足は右前足の進んだ分爪先立ててそれを追い進み、膝を柔らかく適度に屈する事に依って上体の安定した重心の下げを確保します。
 仕手の右前足首が外回りして横を向く分、仕手の上体は正面から四十五度以内の角度を自然に取ります。尤も、補足的に云えば足関節及び膝関節は外旋しませんので、この右前足の形状は股関節の屈曲外転外旋運動に依って引き起こされています。とまれ、この角度に依って、自分の左肩の前に突き出した手も同じように受けの正面からやや角度を取っていますので、受けの引くその肘は屈曲して内に入るような軌跡に変容されるのであります。
 この時受けの肩は肘が屈曲して内に入る動きにより内転外旋を余儀なくされ、その儘上体が正面を向き続けるには窮屈な姿勢を強制されます。依って受けは体を横向きに変更しながら後ろ足をやや後方に下げて体の余裕を確保しようとします。これが第一挙動目です。
 次に受けは尚も、仕手に正対しながらその手首を取った接触時の自分の有利な状態に体勢を復元するために、先に後ろ足を下げた分前足を後退させて間合いを取りながら構えの歩幅に復し、横向きになった体を仕手に対して正対するように立て直そうとします。この受けの復元動作の起こりを察知したらその動きにやや先んじるタイミングで、仕手は膝を屈して爪先立った後ろ足で地を蹴るような要領で、受けの背面方向である左斜め前方に歩み足に大きく一歩、側面から受けに自分の体を密着させて絡みつくように踏み出します。持たれた手はその形状で前に出した儘に体の前進にあわせて受けの体上を滑り進み、受けの体が反るように誘導し、もう片方の手も前に出して段違いに受けの側腹部辺に添えます。
(続)
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