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合気道の「我ヨリ進テ・・・」3 [合気道の事など 2 雑文]

 これは「地稽古」でありますから緩慢な、申しあわせた「後」であり、先の正面打ちの技法2(裏技)のところで述べたと同じ、合気道体の養成を主眼にした稽古であります。でありますから勿論「勝負」ではないのであります。
 では横面打ち技法に於いて「勝負」の観点をとって観るならば、先ず以って相手が横面を打ちこんでくること自体が約束されてはいないと云うことがあります。それは正面打ちの場合も同じでありますが、でありますから「我ヨリ進テ」であるわけであります。こちらから「先」に正面を打っていくことによって、それを防御しようとする相手の、正面であわせる同側の手を正面打ちに取るのであります。正面打ちは正中線上での手の動きであるから、比較的単純なあわせの動作となります。しかし横面打ちの場合は受けの体軸がやや回旋しながら手刀が袈裟がけに打ちこまれてくるので、それにあわせようとすれば「地稽古」時の防御的な「後」の動きしかないように思えます。「後の先」であっても「先」であっても、相手の横面打ちに対して「我ヨリ進」むことは困難であると思えます。依って前に記した講習会での質問が発生することとなります。
 では如何にして「我ヨリ進テ」「先」を取るかと云う時に、絶対採用されなければならないものが「当身」の意識であると思われます。補足的に云うと、正面打ちの場合も「我ヨリ進テ」相手の正面を正面打ちで「当」るわけでありますから、これも実は「当身」の意識に依って「我ヨリ進」んでいると云うことが出来ます。
 横面打ちの場合は、相手の体軸が回旋する「起こり」を察知したならば(=「後の先」)、或いは相手に全く何の「起こり」もない段階でも(=「先」)、こちらから逆側になるべき手(例えば「後の先」で相手が右横面打ちで来ると読んだらこちらは左の手)で、直線的に相手の顎に正拳か手刀を打ちこむと云う「当身」を繰り出すこととなります。これは以前に「当身」における項で記したところの「本当(ほんあて)」であります。
 あわせにおける「本当」が当たる瞬間に緩めば「仮当」となり相手の仰け反る反応を引き出したら、それに乗じて同側の手を使って泳いだ相手の手を捌きながら次の段階の位置に移るのであります。これが「虚当」なら接触の前に相手の一瞬の怯みを誘発したことを察知して、こちらの手が相手の顎へ向かう軌道を変えて相手の手刀方へと変化し、詰まり「地稽古」時のあわせと同じような容態に、相手の手刀をこちらの「虚当」を繰り出した手刀に依って制すると云う形をとることとなります。ただこの場合相手の空いている手を牽制するために、こちらももう一方の手で相手の面に向かって裏拳の「虚当」を同時に繰り出すのでありますが、これも「地稽古」の時のもう一方の手で裏拳を繰り出すのと同じ容態であります。地稽古の「形」は、詰まり「虚当」の技を「形」化したものであります。
 であれば、正面打ちの1の技法(表技)ばかりではなく、正面打ちの2の技法(裏技)も、横面打ちの1も2も、本来的には「我ヨリ進テ」と云う、仕手が「先」を取るべき技であることを理解出来るでありましょう。単に「地稽古」上での稽古の約束事だけではなく「勝負」或いは「武道」と云う観点、その観点から必須に導き出されるところの「当身」の観点を踏まえれば、横面打ちの場合も、否、あらゆる場合にも「我ヨリ進テ」となるのが合気道技の本来であると、門下の人の疑問にも応えることが出来るわけであります。
(続)
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