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合気道と筋力Ⅳ [合気道の事など 1 雑文]

 器具を使わないで自分の体重を利用する筋力トレーニングは手軽で、比較的実行し易いトレーニングであります。一般によく行われている腕立て伏せや腹筋運動やスクワット等、膝行法や筋トレ風にアレンジした膝行法であります。しかしこれもその筋肉を鍛えることによって、合気道のどう云う技のどう云う動きのパワーと精度を上げるのが目的であるのか、明確に意識して行う必要があります。別に腕立て伏せやスクワットの技術向上を目指しているわけではないのですから、その辺は器具を使う場合と同じであります。
 筋力トレーニングは単調であり、その分厭き易く疲労も感じやすいトレーニングであります。漫然とただノルマをこなすべく繰り返すだけでは、せっかくの筋力トレーニングが技術向上に資さないで終わることもあります。漫然と筋肉を鍛えても合気道のパフォーマンスを上げることに使えないのなら、そうやって養成した筋力は無駄なものであったという結果になります。これを防止するためには矢張り、まず意識です。合気道の技のイメージを常に忘却しないで、その技のどう云う動きを強化したいのかを筋出力するときに強く意識します。相手の十で来る力を十で受け止めるための筋力を養成しているのではなくて、捌いても崩れない姿勢と、技の威力の一要素としてのパワーを磨いているのだと云う明確な目的を忘れないことであります。
 また、器具を使うにしても自分の体重を使うにしても、一応目安にするのは一回三十程度の反復運動であります。これを一セットとして当初は三セット程度、その後筋力の向上に合わせて上限十セットまでとして次第にセット数を上げていきます。セットとセットの間には必ず六十秒のインターバルを置きます。取りかかりはゆっくりと行い、時々リズムを崩すように早い動きを混ぜます。技のイメージ、意識の散漫化を許さない意味でもこの一セット三十回と一分のセット間のインターバルと云う周期を守ります。また器具を使う場合はあまり重い負荷は避けます。時々早い動きを入れるので、筋の破壊が起こることを防止するためであります。その分物足りないのならセット数を増やすことになります。負荷のコントロールが出来ない自分の体重を使う場合には、動作の初動と終動のみの動きにします。例えば腹筋運動なら膝を曲げて仰臥して、上体を九十度以上起こすような運動ではなく、仰臥から肩甲骨が床を離れる程度の小さな動き、それと上体を起こした姿勢から後ろに二十度程度倒す動きの反復であります。腕立て伏せもスクワットも他の運動も同じであります。ストレッチ位からほんの少し収縮位に動かす、最大収縮位直前から最大収縮位まで動かすと云う低振幅の運動で行う方が鍛錬効率は高く疲労も少なくて済みます。
 繰り返しになるかも知れませんが筋力トレーニングを行うことによって、筋力に寄り掛かった合気道を目指しているのではありません。あくまで合気道の動きの強さと精度を上げるのが目的であります。筋力は年齢とともに衰えるのだから、それに頼っていたら合気道の技も衰えていくと云うことは暫し耳にします。しかしだからと云って、人間の動きが筋の収縮と弛緩によって引き起こされていると云う所与の事実がある以上、筋力を鍛えることが無意味であるとは云えません。それに筋力は八十歳になっても事実鍛えられるのです。鍛えた筋力をもって合気道を修錬し続け、また筋力そのものも鍛え続けることの果てに、筋力を超えた合気道の動きの妙を得ることが出来るのだと思うのであります。
(了)
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